福井県内で最大規模を誇る高浜町の山城「砕導山(さいちやま)城」の遺構を巡る見学会が9月14日開かれた。県内外から約40人のお城ファンが参加し、城郭研究の第一人者である中井均・滋賀県立大名誉教授の解説を聞きながら、戦国時代に敵の侵攻を防ぐため造られた防御施設の跡などを見て回った。
10月に福井市で開かれる「越前若狭お城フェス2024」に合わせ、「ふくい城巡りプロジェクト」実行委員会が11月までに県内各地で連続開催する山城見学会や城下まち歩きイベントの第1弾。
砕導山城は、戦国時代に若狭地方を治めた守護大名武田氏の重臣・逸見昌経(へんみまさつね)が築いた。昌経が武田氏に反旗を翻した際は、立てこもって武田氏を迎え撃つ拠点となった。斜面を削って平らにした数々の「曲輪(くるわ)」や敵の侵攻を防ぐため尾根をV字に削った「堀切(ほりきり)」が分かりやすい形で何カ所も残っており、中井さんは「シンプルで古いタイプの山城であり、土造りの城の到達点を見ることができる」と説明した。
中でも、本丸があったともみられる「千丈ケ嶽(せんじょうがたけ)曲輪」に続く尾根を遮断する堀切は、斜面をほぼ垂直に削った「切岸(きりきし)」と組み合わされ、その堅固さに参加者は驚いた様子。親子で参加した朝日中2年の生徒は「敵からすれば険しい堀切に圧倒され、倒されてしまうのでは」と話していた。
見学会にはお城好きラジオDJのクリス・グレンさん(名古屋市)も飛び入りで参加。「思った以上に規模が大きいし、地元保存会がきれいに整備している。戦国期の土木工事の跡がよく分かり、地域の宝」と感想を話していた。
21日には大野市の越前大野城と城下町、23日は小浜市の後瀬山城跡を学芸員の案内で見て回るツアーが計画されている。