寺に泊まりながら修行体験ができる宿坊「Temple stay 玉林寺」が、新潟県佐渡市畑野の玉林寺にオープンした。滞在中は境内の掃除や写経などが体験ができる。三浦良廣住職(67)は「滞在しながら心を豊かにして、佐渡で和の文化を感じてもらいたい」と話している。
玉林寺は、1485(文明17)年に開基した真言宗智山派の寺。境内は竹林や梅の木に囲まれている。客室に改装された庫裡(くり)には、ケヤキの大黒柱や太い梁(はり)が残っており、伝統的な日本建築に触れられる。
宿坊の開業は、一般社団法人の佐渡古文化保存協会の代表理事も務める三浦さんと、協会の業務執行理事の古玉かりほさん(47)が協力して企画。2024年3月から改修工事などを進めてきた。
両津地区出身の古玉さんは県外で編集者として働いていたが、7年前にUターン。同協会を立ち上げ、島内の寺院でワークショップを開いたり、文化財を巡るツアーを開催したりと奔走してきた。「古き良きものも人が出入りしなければ朽ちてしまう。お寺や島の文化を残したいという思いが一番で、宿坊がその手段の一つになれたらいい」と開業の経緯を語る。
玉林寺は、宿泊者が希望すれば、朝に本尊へあいさつする勤行(ごんぎょう)や写経、雑巾がけなどの「お勤め」を体験できる参加型の宿だ。こうした体験一つごとに、宿泊料から300〜500円ずつ割り引かれる。古玉さんは「お得なだけでなく、身も心もきれいになるし、寺の文化を実感できます」と参加を呼びかけている。
客室は和室と洋室が1部屋ずつ。洗面所やトイレ、風呂は共同で利用する。食事は基本的に近隣の飲食店を利用してもらうが、朝食は茶がゆ作りを体験して味わうこともできる。
定員は5人。宿泊予約はホームページからできる。基本料金は1人1泊7800円。問い合わせは古玉さん、080(7838)9897。