能登半島地震の犠牲者追悼と早期復興を祈るため、七尾市大田町の曹洞宗(そうとうしゅう)海門寺は26日から、33年に1度ご開帳してきた国重要文化財「十一面千手観音坐像」を12年前倒しで公開する。平穏を願う「特別開帳」は満州事変翌年の1932年以来となる。
木彫りの坐像は平安時代後期の作で高さ約70センチ。像内側の墨書から1158(保元3)年作と判明し、製作年代が分かる仏像では県内最古となる。能登畠山家、加賀藩主前田家の帰依仏として保護され、国重要文化財となった2012年に特別に公開された。
檀信徒から「こんな時だからこそ秘仏に手を合わせたい」との声が寄せられ、26~28日、11月2~4日、9、10日の計8日間に「特別開帳」し、御朱印の頒布なども行う。
震災では本堂の柱が沈み、市文化財の奉納絵馬が落下するなどの被害があった。松本道匡副住職(34)は「能登の里山里海の変遷を見守ってきた存在であり、未曾有(みぞう)の災禍を乗り越えられるように祈りたい」と話した。