下條村陽皐(ひさわ)の大山田神社の「大山田神社獅子舞」が6日、コロナ禍の中断を経て5年ぶりに披露された。200年以上前には現在の姿となり、疫病退散の願いも込められていたとされる伝統芸能。地域の奉納芸を続けたい―と氏子でつくる保存会員が再起し、約50人が見守った。
保存会員や氏子らは午前中から鳥居に付けるしめ縄を編み、祭りを準備。獅子舞では、獅子の胴体から突き出るように動くほろの突起を、仮面を被った「ヘエオイ」と呼ばれる御者役が棒でたたきながら格闘する独特の奉納芸を披露した。同神社に祭られる平安末期の武将源為朝(ためとも)が、天然痘をもたらす「疱瘡神(ほうそうがみ)」を退治した伝説にちなむ。
その後は獅子が境内を練り歩き、子どもたちの頭をかんで無事の成長を願った。かまれた同村睦沢の藤本奏穏(かのん)ちゃん(2)は獅子の形相に驚き「こわかった。いい子にする」と泣き笑い。飯田下伊那地域の民俗芸能を半世紀にわたり研究してきた国学院大の小川直之名誉教授(民俗学)は、初めて鑑賞し「御者がつく獅子舞は中世後期の古い姿だ。歴史ある行事を続けようと住民が集うことで、地域社会の持続にもつながるのでは」と話した。