中東5カ国の国立博物館関係者や考古学者らが10月29日、福井県福井市の県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館などを訪れ、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)などを活用した展示を視察した。
東京文化財研究所の事業の一環。近年、博物館や史跡の整備が進む中東各国の専門家らに、日本のデジタルコンテンツの導入事例や測量技術などを紹介しようと、バーレーン、クウェート、エジプト、サウジアラビア、オマーンから7人を招き、21日から12日間の日程でスタディーツアーを行っている。
この日、来県した一行は、福井駅からクロス・リアリティー(XR)バスに乗って来館。川越光洋副館長らが遺跡の概要を説明したり、館内や一乗谷朝倉氏遺跡でAR・VRを体験できるアプリの開発に携わった三谷コンピュータの担当者が実装方法を解説したりした。石敷遺構の展示室では、実際にアプリを体験。各自が遺構にスマホをかざし、当時の風景や人々の生活の様子が重なるように映し出されると歓声が上がり、感心した様子で見入っていた。
城下町を再現した巨大ジオラマや出土品の見学、かぶとを模した被り物や着物を着用して写真撮影する場面もあり、参加者は一乗谷の歴史と文化を肌で感じていた。朝倉館跡や下城戸跡も見学した。
エジプト・考古省の上級考古学者で、日本国内の大学と共同研究も行うモハメド・ソリマンさんは「新しいテクニックを学ぶことができ大変面白かった。持ち帰って博物館の展示に取り入れたい」と話した。