奈良・平安時代の越前国府が福井県越前市街地にあった歴史をアピールしようと、同市幸町の老舗酒販店「雲の井酒店」が、純米大吟醸酒「越前国府 太介不(たけふ)」を発売した。越前国府の所在地を探る本興寺境内の発掘調査で見つかった緑釉(りょくゆう)陶器をイメージし、緑をシンボルカラーにしている。
「太介不」は古代歌謡「催馬楽」に歌われた言葉で、武生の地名の元となったとされる。県産高級酒米「さかほまれ」を使用し、淡麗辛口でコクもある味わい。製造は吉田金右衛門商店(福井市)が担った。720ミリリットル入りで3500円。
鉛を主成分とした釉薬(ゆうやく)を施した緑釉陶器は、役人など高貴な階級が使ったものとされ、一帯に国府があった可能性を示す出土品の一つ。少し青みがかった緑色を、越前和紙のラベルで表現している。
大河ドラマ「光る君へ」に合わせた企画で、今春発売した純米吟醸酒「紫式部」に続く第2弾。女将は「紫式部が越前で暮らしたのも国府があったからで、発掘調査にロマンを感じる。ドラマが終わっても、その歴史を伝えていきたい」と話している。