福井県若狭地域の伝統食「にしんのすし」の出荷が、小浜市遠敷のJA福井県小浜加工センターで始まっている。ニシンの風味とダイコンの甘さが調和した独特な味わいが特徴で、作業場には発酵による甘酸っぱい香りが広がる。出荷量は過去最高の2・5トンを見込む。
にしんのすしは乾燥させたニシンと塩漬けしたダイコン、米こうじなどをたるに入れ、2週間ほど発酵させて作る。江戸時代、ニシンを運んだ北前船が小浜などに寄港したのがきっかけといわれ、若狭地域の正月料理として親しまれている。
来年3月初旬まで続く出荷作業は週3回のペースで行われ、JA職員が2切れのニシンの身、厚さ約1センチほどの半月切りのダイコンを容器に入れていく。ピークを迎える12月27~30日ごろは連日作業し、正月需要に応える。
同センターによると、材料となるダイコンは猛暑の影響で出荷当初は細いものが目立ったが、徐々にサイズアップしてきている。清水所長は「ダイコンがどんどんおいしくなっていくので、正月の一品に添えてもらえれば」と話している。
250グラム入り486円から。県内のJA直売所などで販売している。問い合わせは同センター=電話0770(56)5017