坂井市三国町に伝わる、古くなった衣服に布を当てて補強する刺し子「安島モッコ刺し」の作品展「繋(つな)ぐ糸・つながる刺し子」(福井新聞社後援)が11月30日、同町の旧森田銀行本店などで始まる。「長井さしこ」(山形県)とのコラボ展示、「津軽こぎん刺し」(青森県)を取り入れるグラフィックデザイナーの講演があり、各地の技術継承の取り組みにも触れることができる。12月22日まで。
三国では海女たちが家族の衣服の補強や保温用に目の細かい幾何学模様の刺し子を施していた。戦後間もなく途絶えたが2016年、地元の美容師坂野上さんが研究し復活させた。地元工芸作家森岡さんと安島モッコの会をつくり、ワークショップなどで仲間を増やし現在約20人で制作、発信している。
旧森田銀行本店での前期展(12月8日まで)は、坂野上さんがタペストリーなど約10点を並べて空間を演出する。知り合った長井さしこの作家も出品する。森岡さんは「山と海の刺し子からそれぞれの当時の暮らしを想像してほしい」と話す。午前9時~午後5時、月曜定休。
津軽こぎん刺しに可能性を見いだすデザイナー山端家昌さん(東京)の講演は30日午後1~3時、資料館マチノクラ(三国町)である。要予約で同会ホームページから申し込む。
後期展(12月9~22日)はカフェmicnic(三国町)で、会員が作った小物約50点を展示販売する。午前10時~午後4時。木、金曜日定休。坂野上さんは「どこかで眠っている文化が再スタートするきっかけになればうれしい」と話している。