大町市が玄関口となっている立山黒部アルペンルートの室堂―大観峰間(富山県立山町)を走る国内唯一のトロリーバスが30日、運行最終日を迎え、29年の歴史に幕を閉じた。部品調達が困難になり、来年以降は電気バスに切り替える。午後3時室堂発の最終便には4両に計200人が乗り込み、名残を惜しんだ。
立山黒部貫光(富山市)が1996年に運行を開始。最終便は希望者が多数に上ることを見越し、予約制にした。室堂駅のホームでは従業員が「29年間ありがとう さよなら『トロリーバス』」と記した横断幕を掲げ、運転士に花束を贈呈。定刻になると、トロリーバスが警笛を鳴らして出発した。
トロリーバスは架線から供給される電気を動力に走るバスで、法律上は鉄道の一種。立山トンネル内の室堂―大観峰間は3・7キロを約10分で結び、運行開始以来、累計約1992万4千人が利用した。最終便の乗客の列に加わった松山市の会社員佐藤加太(かぶと)さん(31)は「今までお疲れさまでした、という気持ち」と労をねぎらった。
アルペンルートは4~11月に営業。トロリーバスは扇沢(大町市)―黒部ダム(立山町)間の関電トンネルでも走っていたが、先行して2019年に電気バスへ転換した。