安曇野市豊科南穂高の玄蕃稲荷神社で、太い眉と円いひげが特徴の「松本だるま」作りが最盛期を迎えている。9日も宮沢佳広宮司(66)の姉、山田より子さん(75)が、並んだだるまを手に取り、接着剤のにかわを眉とひげの形に塗って、黒く染めたシュロを貼り付けていった。
宮沢さんによると、松本だるまは生糸の生産が盛んだった松本地域に江戸時代後期から伝わる。同神社では山田さんが唯一の作り手。養蚕の当たり年への祈りから胴に旧字で「大当」と書き、家庭円満を願ってひげを円くしている。高さ約17センチから約1メートルまで15種類あり、年末までに約3千個を作る。人気がある約25センチのだるまは3500円。
この日訪れた諏訪市小和田南の関芳博さん(76)はだるまを手に取り、「かわいらしい顔に愛着が湧く」。自身と子ども3人の家庭用に計4個を求め、「来年も家族が仲良く健康に過ごせるように見守ってほしい」と願った。