美術王国・石川を支える作家陣が作品を寄せる恒例のチャリティー展「第64回歳末美術展」(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社主催)は12日、金沢市の香林坊大和8階ホールで開幕した。元日の地震に見舞われた能登に心を寄せた作品や、来年の干支(えと)「巳」をモチーフに新年をことほぐ力作がそろい、来場者がお気に入りを見つけようと熱心に品定めした。
●17日まで受け付け
日本画、洋画、彫刻、工芸、書、写真の6部門に、小品を中心とする善意の250点が出品された。見附島や夕暮れの海など、能登の美しい原風景を描いた絵画もあり、来場者が災害に揺さぶられたこの1年を思い返した。
今年度、新たに人間国宝に認定された漆芸の西勝廣さんは、赤い漆に細やかな沈金を施した箱を寄せた。木工芸の川北良造さん、銅(ど)鑼(ら)の魚住為楽さんら重鎮による逸品も会場を彩った。
今年の日本芸術院賞に選ばれた山岸大成さん、日展で最高賞の内閣総理大臣賞に輝いた武腰一憲さん、日展会員賞の西田伸一さん、日展特選の戸出克彦さん、日本伝統工芸展で奨励賞を受けた漆芸の田中義光さんら全国の舞台で躍進した作家陣も出品し、それぞれの技や感性の光る意欲作が目を引いた。
販売は入札方式で、来場者は落札を目指して金額を記入した札を投じた。入札は最終日の17日まで受け付ける。益金の一部は社会福祉事業に役立てる。