真言密宗大本山・大岩山日石寺(上市町大岩)の本尊の不動明王が2025年、開眼1300年を迎えるのに合わせ、神護寺(京都)の国重要文化財「真言八祖像(はっそぞう)」の写しである「八祖大師」の掛け軸が町内の有志から寄進された。中田弘乘(こうじょう)管長は「初詣の際などに多くの方に見てもらいたい」と話す。
八祖大師は、インドで起こった密教が中国を経て弘法大師が真言宗を開くまで八祖を経たとされる伝承に由来する。神護寺の作品は8幅からなる。
中田管長によると、日石寺が所蔵していた八祖大師の掛け軸は1967年の火災で消失。別の寺の軸を代わりに掛けてきたが、傷みが激しく、地元の土木建設業者3社が神護寺の作品の写し全8幅を節目に合わせて寄進した。中田管長は「写しはなかなか許されないもの」と話し、27日までに境内の大日堂に掛けられた。
2025年は門前に工房を構える仏師の住吉太雲さんが彫った不動尊の開眼供養が行われるほか、県内の仏師が手がけた弘法大師や閻魔(えんま)像なども寄進される予定。
「大岩のお不動さん」として親しまれる日石寺の磨崖仏(まがいぶつ)「不動明王」は、725年に高僧の行基が巨石に一夜で彫ったものとされ、国指定重要文化財になっている。