18日に開幕する第50回記念北國花展「伝統と現代」(北國新聞社、石川県いけ花文化協会主催)の生け込みが16日、金沢市の金沢エムザ8階催事場などで始まった。会場周辺に特別展示される迎え花の生け込みには、能登半島地震で被災した池坊珠洲支部の華道家が参加。支援への感謝の気持ちを表現した秀作を寄せ、復興元年へ前を向いた。
50回を迎える今回の花展には、迎え花が3カ所に特別展示される。金沢エムザ3階のカトレアサロン前では池坊珠洲支部の本谷久枝支部長(能登町)ら3人が、「頂いた応援に感謝を届けたい」と思いを形にした。
珠洲焼の花器に地元のナンテンと松、庭で丹精したビワの葉を、大玉の菊とユリなどの花に合わせ、珠洲らしい作品に仕上げた。能登の華道家から託された珠洲焼の茶壺(つぼ)も添える。小松支部の華道家が制作補助に加わった。
昨年元日の地震で本谷さん宅は準半壊となった。3月中旬まで水が来ず、昨年の北國花展への出品は辞退せざるを得なかった。この1年、多くの人に助けられ、迎え花の制作には「使命感のようなものがあった」と語る。作品のタイトルは「気」。「まだまだ復興途中だが色んな方の支援で心に力をもらえた。元気、活気など、プラスの気を感じてほしい」と話した。
ANAホリデイ・イン金沢スカイ16階では、北國いけばな研究会の4人が制作した。白のコチョウラン、赤のシンビジウムと、スダレヤナギで春らしくまとめ、第50回を迎える花展をことほいだ。金沢エムザ「黒門小路」では、県いけ花新進会が大作を生け込んだ。会場では北國芸術賞受賞者や流派代表者による大作の制作も始まった。
同展には16流派161人が出品し、節目の舞台を花で彩る。前期は18~21日、後期は23~26日に開催し、50年の歩みを振り返るパネル展示もある。入場料は前売り600円、当日700円。中学生以下は無料。