白山市白峰地域で受け継がれる県無形文化財の絹織物「牛首紬(うしくびつむぎ)」の制作体験もできる拠点の内覧会が23日、同市部入道町で開かれた。関係者は手仕事による高い技術力に裏打ちされた牛首紬の魅力に触れ、産地の活性化へ期待を込めた。24日からプレオープンする。
西山産業開発(同市)のギャラリー「加賀乃織座」を改装。元エルメスデザイナーで牛首紬にほれ込む寺西俊輔さんと連携し、牛首紬の特性に合わせた白山発の服装文化を提案する「MIZEN(ミゼン)」プロジェクトの第1弾となる。
工房で行われた制作体験で参加者は、職人の手ほどきを受けて2匹の蚕からできた「玉繭」から糸を引き出したり、機(はた)織りでコースター作りに挑戦した。ギャラリーでは、色合いや風合いが異なる多彩な牛首紬の反物、着物が紹介され、洋服やネクタイなどの展示も関心を集めた。
西山博之社長によると、現在の着物の市場規模は30年前に比べて9割減少した。同社は着物愛好者にも若年層にも受け入れられる牛首紬を模索してきたとし、「寺西さんとの出会いで意識が変わった。織元の地だからこそ提供できる体験を通じて牛首紬ファンを増やしたい」と話した。
寺西さんは「デザイナーが主役でなく、800年の歴史を誇る産地の職人が主役となるファッション拠点にしたい」と期待した。