新潟県五泉市吉沢1の老舗スニーカーショップ「ゑびす屋」が、地元名産の五泉ニットを使ったスニーカー「5000」を発売した。五泉市は日本一のニットの産地。「生まれ育った町の靴を作りたい」との思いで開発した代表取締役・吉田紀子さん(32)の、地元愛と靴へのこだわりが詰まった一足だ。
ゑびす屋は1956年創業。約100坪の店舗とオンラインショップ「すにーかー倉庫」を運営し、アパレルを含め約150メーカーを扱っている。店舗に並んでいるのは在庫の1割ほどという豊富な品ぞろえが魅力だ。
「五泉ニットの良さを広め、コーディネートしやすい靴を作る」。吉田さんのそんな発想から、5000は生まれた。無地のシンプルなデザインで、タン(足の甲に当たるパーツ)に光るのは五泉ニットのブランドタグ。「996」「1500」など商品名が数字のメーカー「ニューバランス」をイメージし、5000(五泉)と名付けた。
素材は市内のニットメーカー「高橋ニット」「ナック」が手がけた、はっ水加工したナイロン糸を細かく密に編み込んだ2種類の「ハイゲージニット」を使用。柔らかな肌触りのニットで足全体を包み込み、形状を維持するため、側面にはキャンバス地のような硬めのニットを重ねた。
結ぶ必要がないゴムひも、つぶれにくいヒールカップ(かかと部分)を用い、スリッポンのように脱ぎ履きが楽なのもポイントで、アウトソール(靴底)は耐久性、グリップ力に優れたイタリアのヴィブラム社製を採用。奈良県の靴工場で製作した。
構想から2年。試作を重ねるとともに、受注販売の形でクラウドファンディングを行い160万円を集めて、2024年11月の販売にこぎ着けた。吉田さんは「五泉ニットの名に恥じない靴ができたと思う」と自負を語る。ニットメーカーにとってシーズンオフとなる、夏の生産量増に貢献するのも目標だ。
「ビジネス、カジュアル、どんなシチュエーションも合わせやすい」と吉田さん。「セーターなどと一緒に、五泉ニットでトータルコーディネートを楽しんで」と呼びかけた。
白と黒の2色展開。サイズは23〜28センチ(1センチ刻み)。税込み2万7500円。ゑびす屋(水曜定休)のほか、複合施設「ラポルテ五泉」などで販売している。問い合わせはゑびす屋、0250(42)7611。