のと鉄道能登中島駅(七尾市中島町浜田)の売店「わんだらぁず」が25日、能登半島地震を乗り越えて約1年ぶりに営業を再開した。運営する井田幸長さん(53)と淳子さん(54)夫婦は一時閉店を覚悟したが、再開を望む鉄道ファンや住民の声に背中を押された。中島産カキなど地物を使った自慢の駅弁を復活させ、利用客からの「おかえり」の言葉に喜びをかみしめた。
中島町河崎でテントなどを製造販売する井田夫婦がわんだらぁずを開業したのは2019年。元々はのと鉄道直営の売店だったが「駅のにぎわいづくりに貢献したい」と引き継いだ。能登かきや中島菜などを盛り込んだ「能登中島駅弁」は観光客や住民に人気で、県内で唯一残るとされる手売り販売も鉄道ファンの関心を集めていた。
昨年元日の地震で店は床にひびが入るなどの被害を受けた。自宅も半壊し、廃業の二文字が頭に浮かんだが、営業再開を望む客は少なくなく「能登復興の力になれば」と夫婦でもう一度営業することを決めた。
「この一年、復活を待っていた。地域がにぎわう一歩になると思う」と喜んだのは地元の会社員伊勢路永真さん(38)。店内には能登半島や能登かきをプリントしたトートバッグやポーチも販売している。
駅弁の注文はホームページから予約する必要がある。幸長さんは「能登のおいしい食材を味わいに多くの人が能登中島駅を訪れてほしい」と利用客との会話を弾ませた。