明治から昭和時代にかけて福井県から北海道へ移住し、開拓に挑戦した人々の足跡をたどる企画展「北海道移住」が、福井県勝山市のはたや記念館ゆめおーれ勝山で開かれている。移住者が最も多かった奥越の団体移住の事例や、開拓地で継承されている福井の文化などを、パネルや写真など約60点で紹介している。3月23日まで。
2020年に開いた企画展に続き、ゆめおーれ勝山と県立こども歴史文化館が共催した。
北海道移住は、未開地の開拓と北方防衛を目的に明治政府が推奨。県内でも農業の不作や風水害を背景に移住が進み、現在の大野、勝山両市を含む旧大野郡をはじめ、坂井郡や丹生郡を中心に移住者が出た。多い年では6千人が移り住んだとされる。
事例紹介では、1899年に農場をつくる計画で野向村(現勝山市野向地区)から10戸の農家が移住、開墾に着手したものの失敗に終わったことなどが取り上げられている。このほか、農場で撮影した移住者の集合写真や、広大な原野の区画図も展示されている。
移住者の心のよりどころとなっていたのが、地元の祭りや文化。札幌市西区福井では、先祖の故郷である越前町織田地区の伝統芸能「明神ばやし」を習得し、現在も「福井ばやし」として踊り続けている様子を映像で確認できる。また、失われゆくものとして、移住者が持ち運んだ本殿など、消失したり廃屋になったりした神社を紹介している。
同館の担当者は「先人が北海道へ行き、困難の中で開墾した歴史があることを知るきっかけになれば」と話していた