節分を前に福井県敦賀市の菓子店で伝統菓子「豆らくがん」の製造がピークを迎えている。大豆などが混ざった粉末をお多福形の型に入れ、焼き上げる菓子で、素朴な味わいと食べ応えのある固さが特徴。同市昭和町2丁目の菓子店「銘菓処笑福堂」では職人が作業に追われている。
豆らくがんは江戸末期に生まれたとされる。同店によると、北前船で敦賀に陸揚げされた大豆を使い、気比神宮の祭神・神功皇后をイメージして作られたのが起源という。敦賀を代表する縁起物として複数の菓子店で盛んに製造されていたが近年、後継者不足などで製造する店はわずかとなっている。
銘菓処笑福堂はネット販売も行い、年間を通して製造。昔ながらの味を県内外に広めている。節分前のピーク期には1日で通常の20~30倍の4~6千個を手作業で製造する。
粗びきした福井県産の大豆や砂糖、水あめ、水を混ぜた粉末を型に入れて押し固める。6時間乾燥させて焼き上げ、大豆の香りを引き立たせる。湿度など天候に合わせて原料の配分や力加減を変えるなど、職人の高い技術が求められる。23日も手際よく粉末を型に押し込み、愛らしいお多福の顔を次々と作っていった。
工場長は「福を自分の体に入れ、周りの人には福のおすそ分けをしてもらえたら」と話していた。8個入りで756円(税込み)。土日祝休み。同市神楽町1丁目の神楽店でも販売している。(水曜休み)。問い合わせは昭和町2丁目の同店=電話0770(22)4747。