橘曙覧と笠原白翁に焦点を当てた企画展=福井県福井市橘曙覧記念文学館

橘曙覧と笠原白翁に焦点を当てた企画展=福井県福井市橘曙覧記念文学館

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白翁と曙覧、生涯の友 資料など20点 橘曙覧記念文学館

福井新聞(2025年2月4日)

 幕末の福井で活躍した町医者笠原白翁(良策)と歌人橘曙覧の関係をテーマにした企画展が、福井県福井市橘曙覧記念文学館で開かれている。天然痘の予防に尽力した白翁と国学などを通じて学友だった曙覧が、家族ぐるみで交流を深めていたことを紹介している。関連資料や写真など約20点が並ぶ。3月9日まで。

 作家吉村昭さんの小説「雪の花」が原作で、白翁が主人公の映画が全国公開され注目が集まる機会に、2人への理解を深めてもらおうと企画した。

 白翁は猛威を振るっていた天然痘を予防する種痘(ワクチン接種)の普及に奔走した。痘苗を手に入れるため福井を出発した白翁に、曙覧は身を案じる歌を贈っている。種痘について白翁が執筆した解説書「牛痘問答」は曙覧が添削をしており、活動を支援していたことがうかがえる。

 白翁は曙覧の家族が病気のときに治療し、白翁の長男・元直は曙覧に国学や和歌を学ぶなど家族ぐるみの付き合いだった。秀才とうたわれた元直は21歳の若さで病死したが、このとき曙覧は追悼歌を詠んでいる。担当した学芸員は「映画となった種痘の活動の裏に、2人が生涯の友として交流を深めていた面も知ってもらえたら」と話した。

 併せて昨年度、新たに収蔵した資料も展示。曙覧門人の野村恒見が残した曙覧の和歌短冊など約60点から、4点を紹介している。15日午後2時から、学芸員による展示解説がある。観覧料は100円。

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