発掘調査結果の説明を聞く地元住民ら=福井県福井市冬野町

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福井市の南居城に仏教遺跡 北陸街道一望、出城の役割も 山頂発掘調査

福井新聞(2022年11月1日)

 福井県福井市文化財保護課はこのほど、同市の清明、社南、麻生津の3地区にまたがる城山山頂の「南居城跡」の発掘調査結果を現地で説明した。同課は宗教遺跡の一つである経塚として利用されていたと報告。また、山頂は北陸街道を見渡せる立地の良さもあり、南居城は出城の役割を果たす存在だった可能性が高いとまとめた。

 山頂には盛り上がった部分があり本丸の可能性があるとみて、地元中学生のボランティアらの協力を得て8~9月に約20平方メートルを調査した。

 経塚は主に鎌倉時代、末法思想に基づき、仏教が後世に続くことを祈願し仏典などを地中に埋めた場所。今回の調査で、仏典などを納めた容器とされる越前焼などの一部が出土したほか、経塚に使われることが多い角れき岩が発掘された。

 南居城跡の遺構に関する新たな発見はなかった。ただ現場近くには敵の侵入を防ぐための二重堀切が現存しており、出城の役割を果たす建物があったと考えられるという。

 城山遺跡研究保存協議会の会長は「山城があるといわれた山頂に経塚の遺跡が見つかり、とても驚いている」と話した。

 既に山頂は発掘前の状態に戻している。今後同課は城山がどう利用されていたかや、麓にある猿田彦神社と経塚との関連などを調査していく。

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