千枚田の苗代田に鍬を入れる田中さん=9日午前10時15分、輪島市白米町

千枚田の苗代田に鍬を入れる田中さん=9日午前10時15分、輪島市白米町

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雪の千枚田に田の神送る 豊作祈り「あえのこと」 輪島市で田中さん

北國新聞(2015年2月9日)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている農耕儀礼「あえのこと」が9日、輪島市の国名勝「白米(しろよね)千枚田」で行われた。地元の白米町で唯一、千枚田を耕作している田中喜義さん(73)が、雪化粧した昔ながらの苗代(なわしろ)田で五穀豊(ほう)穣(じょう)を祈った。

 あえのことは国重要無形民俗文化財で、農家が12月に田の神を自宅に招き、翌年2月に送り出す。田中さんは自宅で「ささやかですが、お膳の用意がございます」と話し、タイや赤飯、金時豆の煮物などの料理で田の神をもてなした。

 その後、田中さんは鍬(くわ)を携えて田の神を千枚田に導いた。束ねた松竹梅の枝を田に立て、周りに米や塩、酒をまいて鍬を入れ、「田の神様、今年も豊作になるように見守ってください」と手を合わせた。道中、後ろを振り返り、目が不自由とされる夫婦神を気遣った。

 苗代田は直播(じかま)きの田のことで、世界農業遺産「能登の里山里海」を代表する棚田を、伝統農法を継承する「日本農業の聖地」として発信するため、輪島市が今年度、農家の協力を得て60年ぶりに復活させた。

 復活を祝い、田中さんは約40年ぶりに、本格的な手順で儀礼を執り行った。「終わってほっとした。これからも元気があればあえのことを続け、千枚田の伝統を守りたい」と話した。

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