観光PRイベントで、来県を呼び掛ける芦原温泉旅館協同組合女将の会のメンバー=9日、東京・千代田区のホテルニューオータニ

観光PRイベントで、来県を呼び掛ける芦原温泉旅館協同組合女将の会のメンバー=9日、東京・千代田区のホテルニューオータニ

福井県 北陸新幹線

福井は「恐竜」「食」発信に力 北陸新幹線効果は観光地連携必要

福井新聞(2015年2月14日)

 「さて、どん尻に控えしは、利き酒師、美人女将(おかみ)の連合軍」―。芦原温泉旅館協同組合女将の会のメンバー11人が力強い口上を披露しながら来館を呼び掛けた。勝山市の山岸正裕市長は、恐竜化石のレプリカを手に県立恐竜博物館などの魅力をプレゼンした。

 旅行業者や観光関連のメディア関係者ら約400人を招き、9日に東京都内のホテルで開かれたPRイベント。芦原温泉と恐竜博物館という本県を代表する観光名所を持つ、あわら、勝山両市が初めて連携して企画した。北陸新幹線金沢開業を控えた観光誘客の一環だ。

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 自治体や観光団体を中心に県内観光地は、新幹線開業で沸く石川、富山と「格差が広がるのでは」と危機感を募らせる。金沢からもう一歩先の福井までいかに観光客を呼び込むか。金沢開業を見据えて取り組みを強化している。

 女将の会は、県や市などの協力を得て、一昨年に13人全員が日本酒のソムリエ「唎酒師(ききざけし)」の資格を取得。オリジナルの日本酒造りにも挑み、9日のイベントで初披露した。曹洞宗大本山永平寺と連携し、昨年10月から精進料理をアレンジしたメニューも各旅館で提供し始めた。

 「おもてなしの心を形に」がコンセプト。女将の会の伊藤昌代会長は「関係者と団結して取り組んできた。誘客のきっかけになれば」と期待を込める。

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 県は首都圏をターゲットに「恐竜」を前面に出した誘客戦略を展開する。2012年度から毎年期間限定でJR大宮駅に恐竜がデザインされた大型旗を設置。14年7月にはJR上野駅に越前和紙で作った巨大恐竜や恐竜の骨格標本を展示するなど、次々と恐竜を"出没"させ、本県の認知度向上を図ってきた。

 「北陸の中で福井が選ばれるためには差別化が必要。やはり恐竜は本県のトップブランド」。県の佐々木康男観光営業部長はこう強調する。

 金沢開業に伴い運行開始する金沢―福井間の特急列車「ダイナスター」は、恐竜の英訳「ダイナソー」と、地元の期待を込めた「スター」を組み合わせ、恐竜王国を掲げる本県を印象づけている。

 伝統食のへしこ、なれずしといった郷土料理や、旬の食材、歴史などをまとめた「ふくい食の歳時記」を、首都圏を中心に配布するなど「食」の情報発信にも力を入れる。佐々木部長は「これだけきめ細かく発信しているのは北陸でも福井だけ」と胸を張る。

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 芦原温泉旅館協同組合によると3、4月の宿泊予約の動きはまだ見えず、誘客宣伝効果が表れるのはこれからになりそう。伊藤和幸理事長は「開業直後は金沢が中心に盛り上がり、福井に動きが出てくるのは秋ごろではないか」とみる。

 福井浜町界隈(かいわい)、敦賀赤レンガ倉庫など、受け入れ態勢の核となる観光地の町並み整備も、10月に始まる大型観光誘客企画「北陸デスティネーションキャンペーン」までに終える予定だ。

 嶺北のある県議は指摘する。「全国の注目が一気に北陸に集まる今こそ、まちづくりと人づくりの両方を進めるタイミング。福井の地力が試される」  

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