平日にもかかわらず、大勢の人でにぎわう樹氷のライトアップ=山形市蔵王温泉

平日にもかかわらず、大勢の人でにぎわう樹氷のライトアップ=山形市蔵王温泉

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50キロ圏の仙台と連携 経済や観光 補い合い ミニ新幹線走る山形 北陸へ延びるレール(8)

福井新聞(2015年2月24日)

 氷点下12度、標高約1660メートルの山の斜面に光に照らされた風雪の造形美「アイスモンスター」が"群れ"をなしている。山形市蔵王温泉の樹氷のライトアップだ。平日でも山形新幹線でやって来た人でにぎわい、中国語も交じる。同県の昨年度の観光者4017万人のうち県外客は45%を占める。

 山形新幹線は「べにばな国体」に合わせて1992年に開業した。新幹線と言っても最高時速は約130キロで、在来線に乗り入れるミニ新幹線だ。

 東北新幹線が走る東北の中枢都市、仙台市までは直線距離で約50キロ。山形市と仙台市は、福井と金沢の関係にも似ている。

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 山形駅前のバスターミナルからは、仙台行きの高速バスが10~20分おきに出る。両県のバス会社が運営し、1日なんと80往復。1時間以上乗って、930円の運賃は割安感がある。

 商業・サービス業が中心で、大都市にある本社の支店が多いため「支店経済都市」とも呼ばれる仙台市の人口は約107万人。対して山形市の人口は福井市と同規模の約25万人とはるかに少ない。

 山形県は、木工家具や繊維など製造業が中心で、全域に温泉があり、5月からはサクランボ狩りが始まる。山形市内のタクシー運転手(75)は「仙台と山形は、ないものを補い合う関係。東北新幹線で仙台に来て、山形新幹線で帰る客も結構いる」と話す。

 両県は2007年、自治体や経済界でつくる「宮城・山形未来創造会議」を設立。広域の生活圏・経済圏・交流圏の形成を目指して年に数回の担当者会議を持ち、持ち回りのフォーラムは8回を数えた。食の合同商談会を企画したり、東北の他県を巻き込んで自動車産業の協議会を立ち上げたりと、連携を深めている。

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 「ここは、映画『るろうに剣心』のロケに使われたんですよ」。山形市街地に位置する県郷土館「文翔(ぶんしょう)館」のボランティアガイド、太田淳子さん(62)が教えてくれた。

 大正時代に建てられた同館はれんが造りで、1975年まで県庁舎として使用。県庁舎移転時には駐車場にするといった議論もあったが残され、84年には国の重要文化財に指定された。

 ステンドグラスや大理石の柱、漆喰(しっくい)花飾り天井などは、当時を彷彿(ほうふつ)とさせ、今も時を刻む銅版飾りの時計塔は、職人が5日に一度ねじを巻く。

 太田さんのようなガイドは約100人いて、常時3~4人が待機。山形弁の丁寧な説明は心地いい。駐車場や入館料は無料。八つの部屋はギャラリーとして市民に貸し出し、かまぼこ形の天井が特徴の旧県会議事堂では、コンサートや結婚式、時にはダンスパーティーも開かれる。95年開館の同館の来館者は、2012年に250万人を突破した。

 そこから徒歩10分のところには山形城跡の霞城(かじょう)公園。桜の名所として知られ、近くには美術館や博物館、最上義光歴史館も並ぶ。文化施設を建設する計画も進む。

 派手さはなく、こじんまりとしたまちづくりながら「知的好奇心をくすぐる旅」を追求する山形市。地方都市が学ぶべき点は少なくない。本県のある経済関係者は「福井は金沢と張り合っていても仕方ない。重要なのは連携だ。中心市街地のまちづくりも、県庁や福井市役所の庁舎移転を含め議論を深める必要がある」と提言する。

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