4月5日に開幕する善光寺御開帳のシンボル「回向(えこう)柱」が29日、長野市松代町の住民らでつくる寄進建立会から善光寺に奉納された。槍(やり)振り隊や腰元らに扮(ふん)した時代行列と市民らが、2頭の牛とともに大小の柱2本を引き、市中心街を行進。住民や観光客らが幾重もの人垣をつくって千人超の奉納行列を出迎えた。
柱は、善光寺本堂前に建立される長さ10メートルと、釈迦(しゃか)堂前に建てられる6メートルの2本。行列は同市松代町の国史跡「旧文武学校」前を出発。正午すぎ、JR長野駅近くの末広町交差点付近から中央通りの約2キロを、木遣(や)り隊を先頭にゆっくりと北上した。千曲市屋代の村山義治さん(73)の雌牛杏花(きょうか)と、杏花が2月に産んだ雄牛光里(ひかり)が盛装して力強い足取りで柱を引き、見守っていた人々の中には柱に触れて、手を合わせる人もいた。
本堂前の受け入れ式では、1707(宝永4)年に本堂を再建して以来、回向柱を奉納してきた旧松代藩真田家の14代当主真田幸俊さん(45)=横浜市=が「300年の伝統と歴史を受け継ぐことができて光栄」とあいさつした。引き綱の先頭で掛け声をあげ続けた松代町の小山有左さん(24)は「中央通りの長い坂道でズッシリと重みを感じ、松代と善光寺が1本の木で結ばれていると実感しました」と話していた。
回向柱は4月3日に本堂前に建立され、4日の開眼法要で前立(まえだち)本尊と「善の綱」で結ばれる。