中野市街地の中野陣屋・県庁記念館、袋屋美術館、アートミュージアム・まどの3施設で28日まで、同市の高い文化力を紹介しようと展覧会が同時開催されている。「北信濃の豪農」として知られる旧家山田家ゆかりの品々や、中野市ゆかりの作家の作品が数多く並ぶ。同市一本木公園で21日まで開かれている「信州なかのバラまつり」の観光客の来館も見込み、花や文化の魅力を一体的に発信している。
「まど」では、国内最初の本格的な洋画家とされる高橋由一(ゆいち)(1828〜94年)が130年ほど前の明治時代に描いた旧家山田家の11代当主、山田荘左衛門顕善の肖像画2枚を展示。2枚は顔の向きが若干異なるが、いずれも重厚感のある筆致が印象的だ。
このほかまどの展示には、中野市出身の日本画家菊池契月(けいげつ)(1879〜1955年)が平家物語を題材に描いた「福原故事」なども並ぶ。まどの理事長金井徳重さん(75)は「個人所蔵のため普段は見られない契月作品も多い。珍しい作品を鑑賞する良い機会」とPRしている。
中野陣屋・県庁記念館は、旧家山田家に残された陶磁器や金属器など75点を展示。明治時代に横浜で作られたティーセットには、金色の点描の中を飛ぶようにして青い色彩のスズメが描かれている。袋屋美術館は信濃町出身の俳人小林一茶(1763〜1827年)の直筆の短冊や掛け軸など約30点が並ぶ。
3施設とも午前10時〜午後4時(火曜休館)。3施設共通券は一般・大人500円。高校生以下無料。