山ノ内町渋温泉の旅館「春蘭の宿さかえや」が、「第18回人に優しい地域の宿づくり賞」で最優秀の厚生労働大臣賞を受けた。高齢者らへの優しい配慮がなされ、快適な社会づくりに貢献した旅館やホテルなどを表彰する賞で、さかえやは不登校の若者らに職場体験の場を提供し、就労や自立の支援に力を入れていることなどが認められた。
同賞は、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(東京)の主催。2014年度の取り組みが対象で、全国の旅館やホテル、組合など34件の応募から選考委員会が選んだ。6月に佐賀市で表彰を受けた。
さかえやは14年度、県内外から不登校の子どもや保護観察中の生徒、障害のある若者ら31人を就労体験で受け入れた。期間はそれぞれ5日〜約2カ月。旅館スタッフとペアを組み、客室の清掃や料理提供などの接客に当たった。
不登校の中学生らとペアを組んだマネジャーの小林那津子さん(34)は「問題を抱える若者が一緒に仕事をする中で少しずつ元気になっていく」。今回の表彰を受けて「これからも人のためにできることをやっていきたい」と意気込んでいる。
旅館の理念は「人の縁に育まれ、人の縁を育む」。就労体験を通じてスタッフと参加した若者が共に成長することを目指している。