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落下傘生地など戦時の織物産業迫る 福井県勝山で企画展

福井新聞(2015年8月9日)

 福井県勝山市内の織物工場で戦時中、旧日本軍の落下傘の生地を生産していた歴史を振り返る企画展「落下傘を織っていたころ―戦時下勝山の『織物産業』―」が8日、同市のはたや記念館ゆめおーれ勝山で始まった。落下傘の実物や使われた生地、当時の新聞記事など約40点が展示され、同市の繊維産業が厳しい時代を乗り越えてきたことを伝えている。9月27日まで。

 勝山市は明治時代から繊維産業で栄えた。戦時中、県内の繊維産業は国から厳しい生産統制を受けて転廃業を求められたが、市内の工場は軍用落下傘の生地に使う絹織物を作ることで転業を免れた。飛行機からの緊急脱出に使う落下傘は、軽くて丈夫な絹製が一般的だったという。作業には12~16歳の女子学生たちが動員された。

 企画展は戦後70年を迎え、戦時中の勝山の繊維産業について知ってもらおうと同館が開いた。落下傘の実物のほか、生地や落下傘を入れていたかばん、市内の繊維企業に残る資料や写真も並ぶ。当時の新聞記事は、県内で繊維産業が相次ぎ転業したことを報じている。

 大阪府高槻市から訪れた今泉恵里さん(33)は「自分が落下傘を織る立場だったら、それを使った兵隊さんは無事だろうかと思い怖くなりそう。勉強の機会になった」と話していた。

 企画展は午前9時~午後5時。入館無料。8月23日と9月13日は午前11時と午後1時から、学芸員による展示の説明会がある。9月5日午後1時半~同4時には「勝山の人たちが記した戦争」と題し、講演会やフォーラムが開かれる。

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