福井県立美術館の収蔵品を紹介する移動美術館「描かれた女性たち」が、小浜市遠敷2丁目の県立若狭歴史博物館で開かれている。女性特有の気品あふれる美人画や内面を表現した作品など個性が光る絵画10点を展示。県が新たに収蔵した松尾芭蕉の墨跡史料も初公開している。9月17日まで。
移動美術館は、県の文化施設のコレクションを地域住民らに身近に鑑賞してもらおうと、県が主催した。
福井市出身の画家、三上誠(1919~72年)の作品は、作風の変遷が分かるように初期と晩年の2点を展示。女性の体を独特な構図で描いた「鏡」(71年)は、「自己の内面を凝縮した」(県立美術館・学芸員)もので、女性を通して死期が迫る三上の心象が映し出されているという。
同市出身の画家、米谷清和さんの「エレベーター」は、現代に生きる人々の日常を切り取り、都会の孤独さを表現した。
ほかにも、なまめかしい裸婦画や和服に身を包んだ華やかな女性を描いた作品などが並び、訪れた人はじっくりと眺めている。
先月、県に寄贈された芭蕉の懐紙や短冊も併せて展示している。
県立若狭歴史博物館の担当者は「博物館の雰囲気とは一味違った静かな空間で、じっくりと芸術鑑賞を楽しんでほしい」と話している。
観覧料は一般・大学生300円、高校生以下、70歳以上、障害者手帳を持つ人は無料。休館日は9月14日。問い合わせは同博物館=電話0770(56)0525。