長岡空襲の中で残った4施設が「認定戦争遺跡」となることが固まった旧中島浄水場=25日、長岡市

長岡空襲の中で残った4施設が「認定戦争遺跡」となることが固まった旧中島浄水場=25日、長岡市

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長岡の旧浄水場戦争遺跡に 保存ネット方針 水道タンクなど

新潟日報(2015年8月26日)

 全国の平和団体などからなる「戦争遺跡保存全国ネットワーク」は25日までに、長岡空襲で中心市街地の大半が焼失した中で残った旧中島浄水場(長岡市)の4施設を「認定戦争遺跡」とする方針を固めた。空襲の激しさを伝える"無言の証人"だ。専門家は「若い世代が戦争の悲惨さを想像するための貴重な施設」としている。

 9月5日に千葉県館山市で開かれる全国シンポジウムで正式決定する予定。

 戦争遺跡は、旧軍の施設や軍需工場といった戦争関連の建造物や跡地などを指す。1997年発足の同ネットワークでは、国や自治体の指定・登録文化財となった上で、戦争に関わるものを「認定戦争遺跡」としてきた。原爆ドーム(広島市)など空襲で被災した建造物も"戦災・空襲遺跡"として広く認定している。

 今回認定されたのは、1927(昭和2)年創設の旧中島浄水場に残る「水道タンク」「ポンプ室棟」「監視室棟」「予備発電機室棟」の4施設。いずれも既に国の登録有形文化財(建造物)になっている。予備発電機室棟には焼夷弾が突き抜けたことで、できたとされる穴の補修部分もある。

 同ネットワーク代表の十菱駿武・山梨学院大客員教授(70)は「戦争遺跡は今後さらに価値が高まる。戦後80年、90年になると先の大戦の記憶を語れる人はほぼいなくなり、歴史に変わっていくからだ。官民一体で保存していく姿勢が必要」とする。

 認定を働き掛けてきた長岡市の市民グループ「水道タンク友の会」の小林義雄会長(76)は「戦争体験者が年々少なくなる中、次世代の方々に空襲の実相を伝えていくためにも、認定を機にさらに施設の保存や内部公開に努めたい」と語る。

 長岡の関係者は、今回の認定をてこに「戦争と平和」を学ぶ施設としての知名度を高め、戦後70年が過ぎた来年以降も市内外の多くの人々に足を運んでもらいたいと期待している。

<認定戦争遺跡> 明治から太平洋戦争終結時までに、日本が関わった戦争関連の施設や跡地などのうち、国や自治体の指定・登録文化財でもある「認定戦争遺跡」は全国で計229件ある。赤山地下壕(千葉県館山市)や猿島砲台(神奈川県横須賀市)などが有名。県内ではこれまで陸軍第13師団師団長官舎(上越市)の1件だったが、今回の旧中島浄水場の4施設(4件)が加わり計5件となる。

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