開館30周年を迎えるシネ・ウインドの斎藤正行代表(右)と井上経久支配人=新潟市中央区

開館30周年を迎えるシネ・ウインドの斎藤正行代表(右)と井上経久支配人=新潟市中央区

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新潟シネ・ウインドが開館30年 7日から、記念イベント

新潟日報(2015年11月4日)

 新潟市中央区の「新潟・市民映画館シネ・ウインド」が12月に開館30周年を迎える。街中から映画館が姿を消し、シネマコンプレックス(複合映画館)が主流となったいま、映画に限らず多様な人たちが交流する「文化の拠点」は存在感を放つ。「30周年祭」が今月7日から盛大に行われ、記念パーティーが23日に開かれる。「関わる人たちが出会う場になってほしい」と参加を呼びかけている。

 1985年12月7日、こけら落としの「アラビアのロレンス」で劇場の歴史が幕を開けた。古町地区にあった「名画座ライフ」閉館を受け、現代表の斎藤正行さん(66)らが映画館設立へ奔走。自分たちが見たい映画を自分たちの映画館で-を合言葉に、市民から5千万円を目標に出資を募った。

 斎藤さんは当時36歳。「金も信用も実績もない。趣旨を理解してもらえず、まるで変人扱いだった」と振り返る。開館後も「すぐつぶれる」と心配されたが、ミニシアター系中心のラインアップでファンを獲得。2013年にデジタル化への移行が迫られた際は、全国から約1900万円の募金が集まり、最新鋭の設備を導入できた。

 現在も入場料と会員約2千人の年会費が経営を支えているほか、運営の大半に会員が関わっていることが特徴だ。作品選定や会報「月刊ウインド」発行などにはボランティアが参加。監督や俳優を招いたりシンポジウムや合評会を開いたりと、人が集い、交わる仕掛けを提案している。

 開館当時、新潟市内に14の映画館があった。自宅で気軽に映画が楽しめる時代となり、いまでは四つのシネコンとシネ・ウインドに。同館は1スクリーンで年間約130本の作品を上映し、支配人の井上経久さん(47)は「新潟で公開される3分の1程度を占めるのではないか」と話す。

 「30周年祭」実行委員長の新潟大大学院2年、田川侑弥さん(23)は高校時代から同館に通う映画好き。「ここでしか見られない作品を大勢の人と共有する体験を、同世代の人たちにも味わってほしい」と、大役を引き受けた。

 映画評論家で日本映画大学学長の佐藤忠男さん(85)=新潟市出身=は「社会性のあるドキュメンタリーや低予算で作られたインディペンデント作品など、いい映画は地味で観客が入らず、商業的に厳しい。シネ・ウインドは、映画ファンや若い作り手にとって希望の星」と評価する。

 井上支配人は「映画を取り巻く状況も社会も大きく変わった。多様な作品を紹介することで、物事を考えたり、世の中には知らないことがたくさんあると知ったりする場になってほしい」としている。

◎二つの特集上映 監督らトークも

 7~27日に開かれる「30周年祭」は「ココだからできることを、これからも」をキャッチフレーズに、二つの特集上映、監督らのトークが企画されている。

 特集上映「民主主義をあるく」では、東日本大震災後の反原発デモを記録した「首相官邸の前で」(小熊英二監督)、沖縄戦以降の近現代史を描く「沖縄 うりずんの雨」(ジャン・ユンカーマン監督)などを上映。7日はユンカーマン監督が来県、8日は小熊監督が中継でトークセッションに参加する。

 もう一つの特集上映「SOUND&VISION」は、「ハーダー・ゼイ・カム」など音楽映画の話題作を選んだ。また、戦後70年の今夏に公開された「野火」も再上映し、23日に塚本晋也監督が来県する。

 30周年祭パーティーは23日午後6時30分から、万代シルバーホテル。一般6千円、学生4千円、小中学生2千円、未就学児無料。

 会期中は30歳以下の入場料を千円に割り引く(一部除外あり)。スケジュール、料金などの問い合わせはシネ・ウインド、025(243)5530。

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