信濃町のしなの鉄道北しなの線黒姫駅内にある駅そば店が28日、営業を再開する。店は3月の北しなの線開業後、しなの鉄道(上田市)が運営したが、10月末で休業。町民や観光客に親しまれてきた味を守ろうと、駅業務を担う一般社団法人「信濃町振興局」が、店を切り盛りしていた外谷みどりさん(71)=信濃町柏原=を職員に採用することで再開にこぎ着けた。
そば店は旧信越線時代、JRのグループ会社が運営していたが、北しなの線開業に伴い2月末に閉店。再開を望む町民らの声を受け、しなの鉄道は3月14日、同社の直営として運営を始めた。同社は町振興局が次の業者を見つけるまでの期間として、営業は10月末までとしていた。
だが、そば店の運営業者は見つからなかった。駅の活性化にはそば店が必要―と町振興局が10月下旬に運営することを決め、旧信越線時代から店で働く外谷さんに担ってもらうことにした。
外谷さんによると、平日の客数は30〜40人だが、夏の観光シーズンは昼だけで100人以上訪れる日もある。5年ほどほぼ毎日、月見そばを食べに来た町民もいたという。外谷さんは27日、店のぞうきんがけや食器洗いをして客を迎える準備を整え、「再開がうれしく、本当にありがたい。変わらぬ味でお客さんを迎えたい」と意気込む。
町振興局代表理事で町商工会長の間瀬一朗さん(57)は「駅周辺のにぎわいのためにもそば店は必要。多くの人に食べに来てもらいたい」と話している。月見そばや天ぷらそばなどがあり、320〜640円。営業時間は11〜4月が午前11時〜午後3時、5〜10月は午前10時〜午後3時。