観光客の前に姿をみせるライチョウ。見守りネットの開設で観察しやすくなった=2015年4月、立山・室堂

観光客の前に姿をみせるライチョウ。見守りネットの開設で観察しやすくなった=2015年4月、立山・室堂

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ライチョウ目撃情報急増 室堂で15年3514件

北日本新聞(2016年1月1日)

■県HP「見守りネット」大活躍

 立山・室堂周辺で国特別天然記念物ライチョウの目撃情報が急増している。2015年4~11月に室堂ターミナル併設の立山自然保護センターへ寄せられた観光客からの目撃情報は、前年比約1・5倍の3514件に増加した。県のホームページ(HP)「立山室堂ライチョウ見守りネット」が夏以降開設され、観光客が目撃情報をネット上でリアルタイムに共有できるようになったことが主な理由とみられる。県自然保護課は、保護意識のさらなる向上につなげたい考えだ。

 県自然保護課によると、2015年4月~11月に同センターに寄せられたライチョウの目撃情報は、前年の2328件から急増。同ネットの運用が始まった8月以降は1582件の目撃情報が寄せられ、前年同期の899件から大幅に伸びた。目撃情報のうち同ネットからの投稿は295件で、閲覧数は1万件を超えた。英語や中国語など4カ国語にも対応し、外国人からの投稿もあった。

 同ネットは、スマートフォンなどで写真を撮影し、日時や場所、コメントを投稿できる。これまでは、センターの壁に張った地図上に目撃情報を記していたが、室堂を訪れた人が最新の目撃場所をHP上の地図でいち早く知ることができ、観察しやすくなった。同課の担当者は「ライチョウを見ることは単に感動だけでなく、生息環境を守る大切さを感じてもらうことにもつながる」と説明する。

 ライチョウに親しみやすい環境が整ったことの弊害を懸念する声もあったが、生息を調査している富山雷鳥研究会事務局長、松田勉県鳥獣保護管理員は「遊歩道の保護柵を乗り越えて生息地に立ち入るなどの行為は目にしなかった」と言う。かつては、写真を撮るために保護柵を越えたり、ごみを放置したりするマナー違反も多かったが、「ここ数年は見なくなった。確実に保護意識は定着してきている」と話す。

 HPでは、ライチョウの生態や観察のルール、保護に向けた取り組みも紹介している。4カ国語に対応し、増加する外国人客への啓発にもなるという。2016年から8月11日が「山の日」となり、山への関心の高まりも期待される。同課は「ライチョウは立山の自然保護の象徴ともいえる存在。貴重な自然を守るため、これまで以上に保護意識向上やマナー周知に取り組んでいきたい」としている。(高岡支社編集部・柵高浩)

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