総ヒノキ造りの建物に入ると、156畳の大広間が眼前に広がる。天井を見上げれば、230枚の美しい花鳥図が整然と並んでいる。絢爛(けんらん)豪華な世界観にどっぷりと浸ることができる建物が、福井県の永平寺町山の高台の一角にある。ちょうど20年前の1996年、町が19億円近い巨費を投じて造り上げた複合施設「四季の森文化館」の目玉だ。
当時、大本山永平寺の「傘松閣(さんしょうかく)」が建て替えで姿を変えてしまうため、これまでの姿を残しておこうと忠実に再現した。名付けて「旧傘松閣(さんしょうかく)資料館」。20年の歳月を経ても、ヒノキの香りと天井絵の鮮やかさは色あせていない。
天井絵は大本山永平寺にあるものと同じだが、同寺の広間よりも室内を明るくしてあるため、細部までくっきり見える。「寝転びながら、ゆっくりと楽しむのが本来の天井絵の楽しみ方」と町教委の担当者。ゴロンと横になるのもOKだ。広間を取り囲む回廊には、歴代貫首の墨書などを展示している。
本館には「民具コーナー」があり、昔懐かしい農具や生活用品を楽しめる。古墳の出土品も紹介。2010年からは、ガラスを溶かして用いる「トンボ玉」作り体験を実施しており、子どもたちに人気だ。入館100円(中学生以下無料)、トンボ玉作りは大人200円、小中学生100円(2月中は休止)。月曜休館。問い合わせは四季の森文化館=電話0776(63)2111。