南砺市上平地域の菅沼合掌造り集落。平地域の相倉合掌造り集落とともに白山ユネスコエコパークの範囲に含まれることになった

南砺市上平地域の菅沼合掌造り集落。平地域の相倉合掌造り集落とともに白山ユネスコエコパークの範囲に含まれることになった

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平・上平全域がエコパークに ユネスコ

北日本新聞(2016年3月21日)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は20日、生物圏保存地域「エコパーク」に登録されている白山(富山、石川、福井、岐阜)の範囲拡張を決めた。これまで南砺市の平、上平両地域の山岳地帯は入っていたが、拡張で両地域の全域が含まれた。世界文化遺産・五箇山合掌造り集落もエリア内となり、市はエコパークと世界遺産の相乗効果で交流人口拡大や移住促進につなげたい考えだ。

 白山は1980年に登録されたが、95年の制度変更に伴い、環境保護を優先する区域の周りに、人の暮らしとの調和を図る「移行地域」を設定するよう求められていた。

 これを受け、4県と南砺市など6市1村でつくる白山ユネスコエコパーク協議会(会長・山田憲昭石川県白山市長)が拡張を申請していた。

 白山のエリアは従来の4万7700ヘクタールから19万9329ヘクタールに広がった。多様な動植物が生息する山岳地帯が中核で、平、上平は大半が移行地域に位置付けられた。

 平、上平両地域がすべてエコパークに含まれることになり、田中幹夫南砺市長は「豊かな自然から生み出される産物や暮らしの価値が認められた」と歓迎。財政や制度面での支援はないが、域内に五箇山合掌造り集落があることや、城端曳山(ひきやま)祭など国内の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産登録が有望視されていることも踏まえ、「自然、文化の多彩な魅力の発信によって、移住者の呼び込みや定住につなげたい」と述べた。

 同協議会は20日、白山市内で記者会見し、5月10日に同市内で開く拡張登録記念シンポジウムや、ロゴマーク作成などを通し、関係自治体が連携してアピールしていく方針を説明した。


■大台ケ原と屋久島も
 ユネスコは白山のほか、大台ケ原・大峰山・大杉谷(三重、奈良)、屋久島・口永良部島(くちのえらぶじま)(鹿児島)の2地域の拡張も決めた。

 世界有数の降水量が育んだ原生林が広がる大台ケ原・大峰山・大杉谷は総面積約12万ヘクタールに。「大台ケ原・大峰山」として登録されていたが、日本三大渓谷の一つとされる三重県側の大杉谷が含まれることから、拡張に合わせて名称変更した。

 屋久島・口永良部島は両島全体と沿岸海域を合わせた約8万ヘクタールが登録対象になった。絶滅危惧種アカウミガメの産卵場所も含まれる。樹齢数千年の屋久杉が自生する屋久島は、世界自然遺産にも登録されている。

 国内のエコパークは、ほかに只見(福島)志賀高原(群馬、長野)南アルプス(山梨、長野、静岡)綾(宮崎)の4地域がある。


◆エコパーク◆
 人と自然の共生を目的に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が1976年に登録を始めた。自然を厳格に保護する「核心地域」、エコツーリズムなどに利用する「緩衝地域」、自然と調和した地域発展を目指す「移行地域」の3区域からなる。登録は地方自治体が申請し、毎年審査される。登録総数は120カ国の651地域(昨年6月時点)。

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