小松姫の御霊屋で見つかった棟札に目を通す玉城客員教授(奥)ら

小松姫の御霊屋で見つかった棟札に目を通す玉城客員教授(奥)ら

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小松姫の御霊屋で棟札発見 松代の大英寺

信濃毎日新聞(2016年5月13日)

 長野市松代地区の大英寺で松代藩真田家初代藩主信之の正室・小松姫を祭った霊廟「御霊屋(みたまや)」(県宝)から、棟札が見つかった。棟札の内容は江戸時代後期の古文書に記録されているが、現物は確認できていなかった。解読した清泉女学院大(長野市)の玉城司客員教授(63)は「建立の年代や由緒を記した確かな証拠として重要だ」と指摘している。

 棟札は縦176センチ、横20センチ余。老朽化に伴う2014年8月からの御霊屋の修理工事中、15年になって天井裏中央の梁(はり)の上から見つかった。棟札を書いたのは大英寺初代住職と推定される。寺側は、檀家(だんか)世話役で川中島平俳諧研究会代表の竹村昌男さん(82)=長野市=を通じ、玉城客員教授に解読を依頼した。

 棟札によると、1620(元和6)年に小松姫が亡くなり、2年後に真田家が上田から松代へ移った後の24(寛永元)年、御霊屋が建てられた。「大檀那(だんな)真田伊豆守滋野朝臣信之」との名があり、中国・前漢の張良や三国志に登場する諸葛孔明ら著名な軍師を引き合いに信之をたたえ、大英寺建立は聖武天皇による奈良・東大寺の造営に例えるべきだ―とする。和泉国(現大阪府南部)の大工が建てたことも分かる=口語訳。

 内容は、1842(天保13)年に8代藩主幸貫の命で家臣がまとめた古文書「大蓮院殿御事蹟(じせき)稿」に記録されている。ただ今回の棟札の解読で、古文書とは違った記述が見られたという。玉城客員教授は「現物を見る方がより正確。400年近く前の文字を、こうやって見られるのはありがたい」と話している。

 御霊屋の修理では、天井に貼られていた天女の絵をはがしたところ、天井板にハスの花を手にした人物らが直接描かれているのが見つかっている。

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