坊主バーの準備を進めるメンバーら=本願寺富山別院

坊主バーの準備を進めるメンバーら=本願寺富山別院

富山県 富山・八尾

坊主バーで語らおう 3、4日に本願寺富山別院

北日本新聞(2016年6月3日)

 お酒片手に人生相談はいかが-。本願寺富山別院(富山市総曲輪)は3、4の両日、僧侶がバーテンダーになってお酒を提供する「坊主バー」を同院の境内で開設する。寺や仏教を身近に感じてもらうことが狙い。全国的に注目を集めている坊主バーは、県内でもお坊さんと気軽に話ができる現代の"駆け込み寺"として話題を呼びそうだ。 

 本願寺富山別院が3法要に合わせたイベント「本願寺ブッフェ」の一環として2日間限定で初めて開設。境内の一角にテーブルを置き、竹細工にろうそくをともして幻想的な雰囲気を演出する。カクテルは5種類考案し、リキュールをベースにした「彼岸花」など、仏教にちなんだ名前を付けた。

 企画したのは県内の本願寺派の若手僧侶たち。近年、若い世代の寺離れが指摘されており、気軽に寺に足を運んでほしいとの思いから準備を進めてきた。

 学生時代にバーテンダーの経験がある妙順寺(富山市婦中町笹倉)の竹中了祥(りょうしょう)さん(33)は「境内でお酒を飲む機会はめったにないので、ぜひ体験してほしい」と言う。竹中さんは当日、シェーカーを振って来場者をもてなす。

 僧侶の知識や経験に触れたり、会話を深めたりしたいという人は多く、全国でも坊主バー開設の動きが広まっている。東京都中野区にある常設店「中野・坊主バー」のキャッチフレーズは「真夜中の駆け込み寺」。客層は年々若くなっており、女性の来店も多いという。

 マスターの釈源光(しゃくげんこう)さん(62)は家庭問題や職場の人間関係など、これまで2千件以上の相談に応じてきた。「将来の生活に不安を感じ、仏教にヒントを求めてやってくる人もいるのではないか」とみる。

 東日本大震災で被災した岩手県大船渡市では、2013年から15年12月まで毎月1回、坊主バーが開かれた。運営した妙深寺(横浜市)の阿部信仰(しんごう)さん(51)は「訪れた人は震災でのつらい経験を打ち明けてくれた。息抜きの場になったのではないか」と振り返る。

 県内でも、これまでに南砺市の井波別院瑞泉寺で、真宗大谷派の若手僧侶らが中心となって「坊主バー」を実施した。スペースが足りなくなるほどの盛況だったという。当時メンバーだった梅原裕放さん(34)=南砺市梅原(福光)=は「僧侶に相談するだけでなく、お客さんからもいろんな話が聞けた。双方向で話ができたことがとても良かった」と話す。 

 富山別院の坊主バーは3日午後4時半~午後10時、4日午後6時~午後10時。

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