福井県おおい町の画家・渡辺淳(すなお)さんが、同町出身の作家・故水上勉さんと訪れた中国で描いたスケッチ画などを紹介する展覧会が、同町岡田の若州一滴文庫で開かれている。寺や山村、路地に座ってほほ笑む人らを描いた水彩画のほか、水上さんらと撮った写真など約60点を展示している。11月14日まで。
渡辺さんは、水上さんの小説の挿絵などを描いたことで知られる。中国には、福井テレビ開局20周年記念番組「道元をたずねて」に出演する水上さんから「ぜひ渡辺さんに広い中国大陸を見てほしい」と誘われ、1989年4月15~20日に同行したという。
道元ゆかりの浙江省寧波市にある天童寺のスケッチは、赤や黄土色の門や、両端が反り上がった屋根などを画面いっぱいに表し臨場感あふれる作品に仕上がっている。外で座っている人を描いた作品は、笑顔や物静かそうな表情を捉えており、現地の人たちの様子が伝わってくる。
水辺に建つ民家が特徴的な同市の町並みを撮影した写真や、渡辺さんと水上さん、写真家・水谷内健次さんの3人で撮った記念写真なども展示している。
このほか、渡辺さんが持ち帰った中国のマッチ箱や番組収録のスケジュール表なども披露し、渡辺さんにとって初めての海外の思い出が詰まっている。
27日と10月16日、渡辺さんのギャラリートークが同文庫で開かれる。ともに午後1時から。入館料は300円。問い合わせは同文庫=電話0770(77)2445。