県警山岳安全対策課は1日、今年の夏山シーズン(7月1日〜8月31日)に県内で発生した山岳遭難の件数をまとめた。発生は前年同期比1件減の107件で、遭難者数は同3人減の計110人。ともに統計がある1954(昭和29)年以降で3番目の多さだった。
件数、人数は過去最多だった2012年(117件、118人)、2番目の15年(108件、113人)に次ぐ。12年以降は毎年100件を超えており、高止まりしている。遭難者の年齢別では40歳以上の中高年が90人で81・8%を占めた。
初めて迎えた国民の祝日「山の日」(8月11日)の前後で例年よりも登山者数が多かったという。ただ、8月に入ってから天気が比較的安定していたこともあり、県警山岳安全対策課は「登山者が多い割には遭難は少なかった」とみている。
死者数は同7人減の9人。7月中旬、北アルプスと戸隠連峰で男女計3人が滑落して死亡したほか、8月中旬には北ア前穂高岳で男性が滑落して死亡した。一方、昨年は登山中に心臓や脳の病気で亡くなった人が7人だったのに対し、今年は1人だけだった。
遭難例のうち登山計画書(登山届)が提出されていたのは65件。7月から県登山安全条例で提出が義務付けられた「指定登山道」以外の里山なども含めており、提出率は60・7%となった。昨年は67・6%だった。同課は「今後も県と連携して条例について広報を進める」としている。