上越妙高駅の自由通路で開かれた「野菜ふる里市」=4日、上越市

上越妙高駅の自由通路で開かれた「野菜ふる里市」=4日、上越市

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にぎわい創出に工夫あれこれ 上越妙高駅

新潟日報(2016年9月10日)

 北陸新幹線開業から14日で1年半。上越市の上越妙高駅内で「にぎわいの継続を」と市民が奮闘している。駅自由通路で定期的に野菜市を立てる試みが9月に始まった。ただ、駅を出て、上越を「素通り」する観光客への訴えかけはまだ弱い。地域の玄関口にふさわしい空間づくりに向けて工夫の余地はありそうだ。

 「おいしい野菜いかがですか」。4日午前、上越妙高駅自由通路で市内の板倉、牧、金谷地区の生産者が「野菜ふる里市MogMogフェア」を開いた。新幹線に乗り込む人や地元住民らが立ち止まった。

 トマトやオクラを3袋、4袋と買い込んだ大阪府和泉市の高橋さん夫妻は「上越妙高駅は5回ほど使ったが、野菜市は初めて。活性化になるし、ええですな」とほほ笑んだ。

 上越妙高駅の2階部には東西を貫く自由通路があり、東口に吹き抜けのもてなしドームが、西口に山並みを望む光のテラスがある。駅前広場を含めて市が管理し、開業1周年などの節目にはイベント会場となってきた。だが、これまで継続的な催しはなかった。

 野菜市を取りまとめる市民グループ「脇野田ゆかりの会」代表(57)は、野菜市を通り過ぎ、次々とバスに乗り込む団体客を見送り、「旅行代理店の人はまだ『上越妙高駅には何もない』という認識だろう。継続して取り組むことで、もてなしの気持ちは伝わると思う」と語る。野菜市は10月以降、月1回開く。同会もお茶やコーヒーを振る舞い、駅利用者をもてなす。

 代表によると、次回10月22日には音楽の演奏会もあり、2カ月に1回のペースで開催するという。上越妙高駅の地元のJAえちご上越和田支店も、8月に自由通路で開いた野菜の即売会が好評だったとし、次回を「前向きに検討している」とする。

 上越市によると、2015年度に自由通路や駅前広場で開かれた催しは10団体13件。16年度は既に8団体13件(予定を含む)を数える。市や警察に届け出る手間はあるが、活用の輪は徐々に広がっている。

 しかし、催しがない日はがらんとした空間が広がり、目に入るのは、天井からつるされたフラッグ、企業の宣伝や観光地の映像が流れるデジタルサイネージ、各種ポスターぐらいだ。

 地方の新幹線事情に詳しい青森大社会学部の櫛引素夫教授は「町の中心部から離れた駅では、自由通路をただの通路にしておくのはもったいない」と指摘。「通路を町並みの延長に位置づけて、高田の町の息づかいを伝えるメッセージや、手書きの地図を張るなどの工夫をすることで、素通りしている客をリピーター予備軍にできるのではないか」と話した。

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