岡谷蚕糸博物館に展示されているフランス式繰糸機の復元機を運び出す映画製作スタッフら=13日午後5時20分、岡谷市

岡谷蚕糸博物館に展示されているフランス式繰糸機の復元機を運び出す映画製作スタッフら=13日午後5時20分、岡谷市

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17年公開、富岡製糸場描く映画 岡谷蚕糸博物館の繰糸機活用

信濃毎日新聞(2016年10月14日)

 岡谷市の姉妹都市で、世界文化遺産の富岡製糸場がある群馬県富岡市が、製糸場の歴史や長野県出身の工女たちを描く映画「紅(あか)い襷(たすき)LaChroniquedeTOMIOKA〜富岡製糸場物語」の製作を進めている。2017年9月上旬に全国で公開予定。創業時の富岡製糸場で稼働し、現在は岡谷市立岡谷蚕糸博物館に展示しているフランス式繰糸(そうし)機の復元機を撮影に活用するため、13日、博物館から搬出した。

 映画は、14年の世界文化遺産登録から3年の節目となるのを記念。長野市松代町出身で、富岡製糸場で「伝習工女」として技術を習得した和田英(えい)(1857〜1929年)が記した「富岡日記」がベースになっている。製糸場整備を担ったフランス人技師ブリュナの功績や、生糸取引を巡る明治新政府と欧州諸国の攻防などをドキュメンタリーを交えて展開する。

 主人公の和田英の少女時代を新人の水島優さん、70歳の頃を大空真弓さんが演じる。製糸場初代場長の尾高惇忠(あつただ)を西村雅彦さん、製糸場建設の立役者となった渋沢栄一は豊原功補(こうすけ)さんで、ベテランが脇を固める。撮影は4日に製糸場などを舞台に始まった。

 富岡製糸場の保全に長年努めた片倉工業(東京)の前身は岡谷市で創業。フランス式繰糸機は片倉工業側が1959(昭和34)年に岡谷市に寄贈した。繰糸機については、市が99年に復元機を作った。2010年には復元機の複製を作り、富岡市に寄託した。映画では、岡谷市にある復元機と、富岡市にある複製の2台を、コンピューターで合成して製糸場内の雰囲気を再現するという。

 13日は岡谷蚕糸博物館閉館後に映画製作スタッフら4人が同館を訪れ、復元機を慎重に運び出した。館長の高林千幸さん(65)は「日本の近代化で製糸が果たした役割を伝える意義がある映画。国内屈指の生産を誇った信州や岡谷にも目を向けてほしい」と期待を寄せていた。

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