第1回(1955年)の人間国宝に選ばれた陶芸家の故濱田庄司氏をテーマにした企画展「健やかな美」(福井新聞社後援)が、福井県越前町小曽原の県陶芸館で開かれている。濱田氏が作陶拠点を転々と移しながら生み出してきた作品を、四つの時期に分けて紹介している。11月27日まで。
濱田氏は1894年、神奈川県生まれ。東京高等工業学校(現東京工大)窯業科を卒業後、京都市陶磁器試験場でろくろびきや施釉(せゆう)を学ぶ。1924年から4年間、英国で修行したほか、沖縄県にも渡りさまざまな作陶技術を吸収。1930年以降は栃木県益子に腰を据え、作陶に励んだ。
大皿や花瓶、大鉢など54点を展示。「飴釉青白流描大鉢」は濱田氏を代表する流し描き技法を使っており、皿の中央に釉薬(ゆうやく)を十文字に垂らしてある。ゆで卵を立てるエッグスタンドや、牛乳を入れるミルクピッチャーなど生活雑器も並んでおり、英国の影響を受けた濱田氏の"ハイカラ"な生活スタイルを垣間見ることができる。
5日午後1時半から濱田氏の孫、濱田友緒さんを招いた記念講演会を開く。問い合わせ、申し込みは同館=電話0778(32)2174。