北斎が当時使った絵の具で彩色する山内さん

北斎が当時使った絵の具で彩色する山内さん

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北斎の技、興味津々 小布施の天井絵、制作工程再現

信濃毎日新聞(2017年5月15日)

 江戸時代の浮世絵師葛飾北斎(1760〜1849年)が手掛けた岩松院(上高井郡小布施町)本堂の天井絵「八方睨(にら)み鳳凰(ほうおう)図」について、町や町教育委員会などは14日、制作工程を再現する公開研究会を町内で開いた。約300人が見守る中、文化財修復の専門家で天野山文化遺産研究所(大阪府)代表の山内章さん(58)が、鉱物由来の顔料など北斎が当時使った絵の具でパネルに彩色していった。

 天井絵は横約6メートル、縦約5メートルで、12枚の板を組み合わせている。山内さんや助手らは12、13日、現在残る2種類の下絵のうち「中下絵」に基づき、実物大の12枚の合板に鳳凰図の輪郭線を書き写した。

 この日の研究会で山内さんは、中下絵と実物の鳳凰図を縮尺を変えて重ねると、ほぼ輪郭線が一致すると説明。顔の部分は絵の具が剥がれておらず、北斎が描いたと推測できる一方、羽根などには絵の具が剥がれ落ちた「下手な部分」(山内さん)もあり、「何人かの『チーム北斎』で描いた」との見方を示した。

 顔の彩色では、黄色系の絵の具「石黄」を白目に、紺青の「ベロ藍」を黒目に塗った。山内さんは「今後北斎の作品を見る際、どんな絵の具でどう描いたかを想像して楽しんでほしい」。取材に「町民の誇りと再認識して、町の活性化にも生かしてほしい」と話した。

 この日の彩色は顔の一部のみ。町教委は今後、子どもたちを対象とするワークショップ(参加型講座)などを開き、残りの部分の彩色をしてもらうことを検討している。

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