約70人の聴講生に丸岡城天守の新たな知見と謎を解説する吉田氏(右)=2月25日、福井県坂井市三国コミュニティセンター

約70人の聴講生に丸岡城天守の新たな知見と謎を解説する吉田氏(右)=2月25日、福井県坂井市三国コミュニティセンター

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丸岡城研究の第一人者、吉田純一の思い 坂井市で講座「天守の謎、解明を」

福井新聞(2023年2月28日)

 福井県坂井市の丸岡城調査研究アドバイザーで同城の建築研究の第一人者、吉田純一福井工大客員教授が2月25日、同市三国コミュニティセンターでの市民向け講座で「『丸岡城天守』~新たな知見と謎~」と題し講演した。

 地元三国町などから70人余りが聴講した。吉田氏は天守国宝化に向け市教委が取り組んだ丸岡城調査研究委員会の委員長として、2015年度から4年にわたり学術調査。19年に、天守の創建を江戸初期の「寛永年間」と推察。さらに柱に残る「墨書」から「寛永5(1628)年ごろの造営」との成果を導き出した。

 講座では、戦前の1940~42年に行われた大規模解体修理の貴重な映像が流され、吉田氏は「この調査の図面や写真があったおかげで、福井地震(48年)で倒壊した天守が元通りに再現できた。大変貴重な調査だった」と述べた。

 自身が携わった学術調査によって天守の建築年代が特定できたものの「寛永期になぜ、古い様式である望楼型が作られたのかをはじめ、建築関係でもいくつかの謎や疑問が出てきた」とし、「最古でなくても現存12天守である丸岡城の価値は下がらない。謎を解明し、天守をしっかり保存活用し、今後、城郭の再現やまちづくりに生かすことが大事だ」と語った。

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