柔らかい素材や液体を流し込んで同じ形の製品を量産する「型」に焦点を当てた企画展が、福井県若狭町の若狭三方縄文博物館で開かれている。結婚式や法事で出された和菓子を作るための木製の型や縄文時代の土器片、弥生時代の銅鐸の複製品を展示。シャンプーボトルやクーラーダクトなど現代の成形技術も紹介、"立体コピー"の変遷が分かる。
冬季企画展として、型で成形された商品や道具など約200点を展示。結婚式の引き出物や法事で出された和菓子は「押物(おしもん)」と呼ばれ、砂糖に粉末状のもち米などを混ぜて作る。1960年代後半から冠婚葬祭の簡素化運動が全国的に広まり、徐々に需要は減ってきたという。
押物の木製型は若狭町鳥浜の「上野製菓店」から寄贈を受け、128点を展示。長さは10~40センチで、大きなタイや松竹梅、エビ、柿、マツタケなど多彩で、寿と刻まれた扇子や打ちでの小づちもある。
また若狭町内に本社や工場がある3社の技術を紹介。フクビ化学工業は樹脂とほかの素材を複合させる「異形押出成形」によって作られたクーラーダクトや、店舗の冷凍ショーケースの縁を覆う部材を展示している。
上中化学はアニメキャラクターを使ったシャンプーボトルや液体歯磨きの容器を並べた。アニメキャラクターの頭部が乗った金型もある。プレス用金型などを製造・販売するミヤギは、自社製品のサンプルなどを展示している。
出土品はいずれも町内の遺跡や古墳で見つかった。弥生時代の銅鐸は砂や土で型を作り、青銅を流し込んで完成させたという。棒状の表面に凹凸を付け転がして模様を付けたと思われる土器片などがある。展示は3月31日まで。