ガラス越しにイトヨを観察する子どもたち=1日、大野市糸魚町の本願清水イトヨの里

ガラス越しにイトヨを観察する子どもたち=1日、大野市糸魚町の本願清水イトヨの里

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イトヨ"恋の季節"到来 大野、雄の巣作り間近に観察

福井新聞(2015年5月6日)

 福井県の絶滅危惧種に指定されている大野市の魚イトヨが、繁殖期を迎えている。同市糸魚(いとよ)町の本願清水イトヨの里では、青と赤に変色した雄が巣作りや外敵の退治にせっせと励む姿が観察できる。

 イトヨは夏でも水温が20度以下の水域に生息する、体長5センチほどの小魚。3~6月ごろ繁殖期を迎える。湧き水で満たされた本願清水は「本願清水イトヨ生息地」として国の天然記念物に指定されており、約6千匹のイトヨが生息している。

 体全体が青みがかり、下あごから腹部にかけて赤く色づいた繁殖期の雄は、稚魚の誕生まで約3週間にわたって不眠不休の奮闘を続ける。まずは水草などを集めて巣を作り、「ジグザグダンス」で雌にアピールして巣に卵を産んでもらう。

 ふ化するまで約10日間は常に巣の近くで卵を見守り、胸びれで酸素を多く含む新鮮な水を送り続ける。外敵の気配がすれば飛び出して撃退といった"イクメン"ぶり。雌は子育てにノータッチだ。

 同館の長谷川幸治副館長は「今冬は雪が適度に降ったりやんだりしたので、高水位が続いており透明度が高い。繁殖の様子がじっくり観察できる」と強調している。

 本願清水では昨年10月、特定外来生物に指定されているコクチバスの稚魚1匹(体長約5センチ)が発見された。捕獲を試みたがまだ駆除できていない。生きていれば7~8センチに成長していると考えられ、イトヨの稚魚が食べられてしまう恐れがある。長谷川副館長は「最近は姿を現していないが、油断できない」と話している。

 同館は午前9時~午後5時。月曜と祝日の翌日は休館。入館料は高校生以上200円、小中学生50円。
 問い合わせは同館=電話0779(65)5104。

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