福井県池田町水海に伝わる国の重要無形民俗文化財「水海の田楽能舞」が15日、鵜甘(うかん)神社で行われた。大勢の見物人が見守る中、集落住民らが厳かに伝統の舞を奉納した。
この地を訪れた鎌倉幕府執権北条時頼が雪で足止めされた際、住民が慰めるために田楽を舞い、喜んだ時頼が能舞を教えたのが始まりといわれる。田楽と能の両方を舞う行事は全国的にも珍しい。
正午ごろ、2日前から社務所で寝泊まりしていた主役級の3人が近くの水海川に入り、勢いよく肩まで漬かって身を清めた。
拝殿の舞台では、ささらを鳴らしながら国中の荒ぶる神々を鎮め、世界をはらい清める「あまじゃんごこ」、はやしや笛の音に合わせて天下泰平を祈る「式三番」など、恒例の田楽4番、能5番を奉納。見学者を幽玄の世界にいざなった。