17日から始まる若狭地方最大の秋祭り、福井県小浜市の放生祭(ほうぜまつり)を前に、同市の県立若狭歴史博物館のテーマ展「小浜祇園祭と放生祭」が19日まで、同館で開かれている。神楽や山車(やま)などに加え、あでやかな着物を着た女性らの行列などを描いた江戸後期の絵巻など約70点を展示。当時の町の繁栄が感じられる展示になっている。
垣東敏博副館長によると、鎌倉時代に京都から伝わった小浜の祇園祭は明治時代に入り、現在の祇園祭、お城祭り、放生祭に分かれたという。
展示の目玉は、同市指定有形民俗文化財の「小浜祇園祭礼絵巻」。長さ約20メートルで、カラーで着物の柄や鉾(ほこ)などが描かれている。
同絵巻全体をコピーし、それぞれの絵に解説を加えた。現在の放生祭の出し物の神楽や山車、大太鼓、獅子に加え、花車や仮装行列などを見ることができる。かつて京都の祇園祭にあったとされる傘鉾も記されている。
このほか、みこし船や3匹の獅子舞が描かれた「廣嶺神社旧式祭典絵」(明治25年)や、昭和初期に撮影された南川をさかのぼるみこし船の写真なども並べた。
垣東副館長は「絵巻からは、町衆が経済力と教養を持っていたことが分かる。当時を想像しながら楽しんでほしい」と話している。
会場内に置いてあるチラシの展示にかかわるクイズに全問正解すると、放生祭の各区の出し物が一目で分かるカードをプレゼントされる。
開館は午前9時~午後5時(9月12日休館)。一般・大学生300円、高校生以下と70歳以上は無料。