長野県飯田市山本の七久里(ななくり)神社で1日夜、地区の7集落から選抜された20〜30代の男性7人が上半身裸で桶(おけ)を振る「裸祭り」があった。祭りは五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈願して600年余前から続いているとされる。噴き上げる花火の火の粉を恐れずに桶を振る姿を見ようと、県内外から大勢の人たちが足を運んだ。
神社境内の筒状の花火の周辺で、さらしを巻き、腰にしめ縄を着けた男性たちが桶を振り始めると、盛り上がりは最高潮に。風に舞う火の粉の下で男性たちは「ヨイサ、ヨイサ」と掛け声を上げた。
運営責任者で区長の元村両治さん(70)によると、少子化による影響で一部の地域では「桶振り」が担い手不足だ。元村さんらは次の世代を見据え、祭りに興味を持ってもらう狙いで地区の保育園などに手作りの弓張りちょうちんを提供してきた。「地域に伝わる祭りを今後も継続していくためにできることをしたい」と話す。
桶振りを担当した会社員の片桐拓真さん(30)は「『桶振りをやりたい』と思ってもらえるようなかっこいい姿を見せたい」と、この日まで息子の悠真君(3)を担いで練習を重ねてきたと明かした。