出店者とお客の会話が弾む七間朝市=2016年3月、福井県大野市の七間通り

出店者とお客の会話が弾む七間朝市=2016年3月、福井県大野市の七間通り

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弾む会話が七間朝市の魅力 18日再開、組合長に聞く

福井新聞(2017年3月10日)

 福井県大野市の城下町で400年以上続く七間朝市が、3月18日から再開する。石畳の七間通りに出店者の"おばちゃん"たちが座り、新鮮な野菜や花を売る光景は大野の名物だ。ただ、出店者は高齢化し減少している。七間朝市出荷組合の牧野千代美組合長(61)は「大事なのは今いる出店者自身が楽しめる場にすること」と話す。お客とおばちゃんの会話が弾む今の朝市の形を守りたいと願う牧野組合長にインタビューした。

 -七間朝市の現状は。

 「出店者である組合員数は52人。ピーク時は200人ほどいたが年々減っている。休日は25人くらい出店することもあるけれど、平日は5、6人の時もある。出店者は平均75歳くらい。後継ぎもいない」

 -出店者が減って寂しいという声がある。

 「確かに平日の少なさが課題で何とかしなければと思っていた。でも最近は、それでもいいんじゃないかという考えに変わってきた。歴史のある朝市が今も存在し、毎日開かれている。それだけで十分すごいこと。新規に出店してもらうのはもちろん大歓迎だけど」

 「今、出店しているおばちゃんたちを大事にしたい。出店者自身が楽しいと感じ、進んで出てきてくれるような雰囲気づくりに取り組んでいる。昨年、野菜を景品にした抽選会を行う感謝デーの回数を増やしたら、生き生きとして野菜を出してくれた」

 -七間朝市をどう位置付けるか。「市民の台所」か「観光」か。

 「観光客にとっては越前大野城や寺町通りなどとともに観光ルートの一つ。ただ、そこで野菜を買い求めるかは疑問。一方、昔言われた『市民の台所』の役割もスーパーが担うようになった。それでも来てくれるなじみのお客は、おばちゃんとの会話を楽しみにしている。お客も高齢化していて、普段は話し相手がいない人も。物を買うだけが目的ではない」

 -次世代にどう残すか。

 「若い人の中には、新たなスタイルを提案してくれる人もいる。でも、今のおばちゃんたちが頑張っているうちは、今の形を守りたい。5年後や10年後、おばちゃんたちが引退したら、がらっと形を変えてでも続いてくれたらうれしい」

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