第73回現代美術展(一般財団法人石川県美術文化協会、北國新聞社など主催)の開場式は29日、金沢市の県立美術館で行われた。出席者は、「美術工芸王国」を支える若手から重鎮まで、多士済々が実力を示す同展の開幕を祝い、さらなる飛躍を期した。同美術館と金沢21世紀美術館で30日、一般公開が始まる。
県美術文化協会の飛田秀一会長はあいさつで、美術文化大賞に輝いた大丸七代さん(68)=金沢市=が金沢美大4年から出品を続けているとし、今年は大学生の出品が増え、30人が入選したことを紹介した。
一方で、文化勲章受章者の陶芸家大樋陶冶斎(とうやさい)理事長、日本芸術院会員の洋画家村田省蔵氏、第1回から唯一出品を重ねる文化功労者の漆芸家三谷吾一副会長ら大家も存在感を発揮していることを挙げ「若い芽が育ち、大ベテランも活躍している。現美の将来を考えると頼もしい」と述べた。
さらに、終戦直後に始まった現美について「石川が文化立県として再スタートした、原点中の原点であることを大事にし、回を重ねたい」と強調した。
来賓の谷本正憲知事は「現美は出品者が創意工夫を積み重ねたからこそ継続してきた。文化立県を土台から支えていただいている」、山野之義金沢市長は「若手も多く挑戦している。多くの人が現美に足を運び、裾野の広がりを感じてほしい」と祝辞を述べた。
若松みなみさんのバイオリンと平尾祐紀子さんのハープによる二重奏が、会場に彩りを添えた。
同展では委嘱と一般の部を合わせた6部門の1127点が展示される。日本画、工芸、書は県立美術館、洋画、彫刻、写真は金沢21世紀美術館が会場となり、4月16日まで開かれる。